錆(さび)は、金属にとって最大の敵です。鉄や鋼が酸素と水に触れると、赤茶色の酸化鉄 -- つまり錆が生成され、やがて金属そのものを蝕んでいきます。この錆から金属を守る最もポピュラーな方法のひとつが、亜鉛めっきです。
自動車のボルト、建築物の鉄骨、家電製品のシャーシ。私たちの身の回りにある金属製品の多くが、亜鉛めっきによって静かに守られています。今回は、この「ものづくりの縁の下の力持ち」ともいえる亜鉛めっきの基礎知識を、わかりやすく解説します。
亜鉛めっきとは何か
亜鉛めっきとは、鉄や鋼などの素材の表面に亜鉛の薄い膜を形成する表面処理技術です。亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が大きい(酸化されやすい)金属であるため、めっき膜に傷がついて鉄が露出しても、亜鉛が先に腐食することで鉄を保護します。この作用を「犠牲防食」といい、亜鉛めっきの最大の特長です。
例えるなら、亜鉛は鉄のボディガードのような存在。自らが傷つくことで、守るべき鉄の寿命を延ばしているのです。
電解亜鉛めっきの仕組み
今井メッキ工業所が手がける亜鉛めっきの多くは、電解めっき(電気めっき)方式です。その仕組みを簡単にご説明しましょう。
- 前処理 - 素材表面の油分や酸化膜を除去し、めっきが密着しやすい清浄な状態にします(脱脂・酸洗い)
- めっき槽への浸漬 - 亜鉛イオンを含む電解液(めっき液)に素材を浸します
- 通電 - 素材を陰極(マイナス)、亜鉛板を陽極(プラス)として直流電流を流します
- 亜鉛の析出 - 電解液中の亜鉛イオンが素材表面で還元され、金属亜鉛として析出します
- 後処理 - クロメート処理などの化成処理を施し、亜鉛膜自体の耐食性をさらに向上させます
電流の大きさと通電時間を制御することで、膜厚を精密にコントロールできるのが電解めっきの利点です。一般的な亜鉛めっきの膜厚は5~25マイクロメートル程度ですが、用途に応じて0.1マイクロメートル単位で調整します。
亜鉛めっきの種類と特徴
亜鉛めっきは、めっき後に施す化成処理(後処理)の種類によって、外観や耐食性が大きく変わります。主要な種類を比較してみましょう。
| 種類 | 外観 | 耐食性(塩水噴霧試験) | 環境対応 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| ユニクロ(光沢クロメート) | 青白い光沢 | 白錆 48h以上 | 六価クロム含有 | 屋内機器、電子部品 |
| クロメート(有色クロメート) | 虹色~黄金色 | 白錆 72h以上 | 六価クロム含有 | 自動車部品、建築金物 |
| 黒色クロメート | 黒色 | 白錆 48h以上 | 六価クロム含有 | 光学機器、装飾部品 |
| 三価クロメート(白) | 銀白色 | 白錆 48h以上 | RoHS対応 | 電子部品、自動車部品 |
| 三価クロメート(黒) | 黒色 | 白錆 48h以上 | RoHS対応 | 光学機器、装飾部品 |
| 三価クロメート+封孔処理 | 銀白色~淡黄色 | 白錆 120h以上 | RoHS対応 | 高耐食要求部品 |
六価クロムから三価クロムへの転換
従来のクロメート処理には六価クロムが使用されていましたが、EUのRoHS指令やELV指令により、電子機器や自動車分野では六価クロムの使用が規制されています。そのため、近年は三価クロメート処理への切り替えが急速に進んでいます。
今井メッキ工業所では、環境規制への対応をいち早く進め、三価クロメート処理の技術を確立しています。六価クロメートと同等以上の品質を、環境に配慮した方法で実現しています。
亜鉛めっきが活躍する分野
自動車産業
自動車1台あたり、数千本のボルトやナットが使用されています。そのうち防食が必要な締結部品の多くに亜鉛めっきが施されています。エンジン周辺、シャーシ、ブレーキ部品など、安全性に直結する箇所では、特に高い耐食性と信頼性が求められます。
建築・建設
建築用の鉄骨、H鋼、アンカーボルト、金物類にも亜鉛めっきは欠かせません。屋外で数十年にわたり風雨にさらされる構造物を守る亜鉛めっきは、まさに「建物の長寿命化」を支えるインフラ技術です。
電気・電子
配電盤や制御盤の筐体、電線管、ケーブルトレーなど、電気設備でも亜鉛めっきは広く使われています。導電性を維持しながら防食できるという亜鉛の特性が、電気分野と非常に相性がよいのです。
今井メッキの亜鉛めっき - その強み
今井メッキ工業所は、創業以来65年以上にわたり、亜鉛めっきの技術を磨き続けてきました。当社の亜鉛めっきには、以下のような特長があります。
- 精密な膜厚管理 - 蛍光X線膜厚計による全数検査で、指定膜厚を確実にクリア
- 多品種小ロット対応 - 試作1個から量産数万個まで、柔軟に対応
- 環境対応 - 三価クロメート処理の豊富な実績。RoHS対応もお任せください
- 短納期対応 - 社内一貫生産体制により、急ぎのご依頼にも最大限対応
- 技術提案 - 素材や用途に応じた最適なめっき仕様をご提案
「どのめっきを選べばよいかわからない」というお声をいただくことも少なくありません。そのような場合も、当社の技術スタッフが用途やコスト、環境要件を総合的に判断し、最適な仕様をご提案いたします。めっきのことなら、まずはお気軽にご相談ください。